「1枚40円」
刑事裁判で証拠をコピーするとき、業者に支払う費用の一例です。
証拠は検察官の手元にしかなく、弁護側はそれをコピーしなければなりません。
ある地域では、モノクロ1枚40円、カラー1枚80円(税込)の費用を、業者に支払って、証拠の紙コピーを依頼します。
検察官は、証拠をPDFファイルなどの電子データで渡すことを拒否しています。
証拠のコピー費用は、原則は自己負担です。1人で600万円以上支払った方もいます。
一部の事件では国がそのままコピー代を補助します。この場合、
紙コピーのために1枚あたり40円といった税金が使われることになります。
証拠を紙でコピーさせるのをやめ、PDFファイルなどの電子データで渡す方法に切り替えるべきです。
そうすれば、個人が大変な金額を負担することも、税金が無駄なことに使われることもなくなります。
裁判にかかる時間もずっと短くなります。
私たち「証拠開示のデジタル化を実現する会」は、証拠を紙でコピーさせるのをやめ、
電子データで渡して欲しいという、非常に簡単なことを求めるために活動を始めた団体です。
要望の実現を求めて、政府に対し、
『証拠開示のデジタル化を求める要望書』と、賛同署名を提出しました(2021年3月12日発送)。
賛同署名数
弁護士・研究者 4043筆
一般市民 9140筆
合計 13183筆
証拠開示とは何ですか?
証拠開示というのは、警察や検察が集めた証拠の一部を、弁護士や被告人に利用できるようにする手続です。
証拠は検察官の手元にあります。
そして、検察官は弁護士に証拠を自分でコピーさせるというやり方をします。
その際に弁護士が使える業者も限られており、1枚40円といった高額の費用がかかります。
「証拠のPDFを渡して欲しい」という要望に検察官が応じた例は、まだ一例も報告されていません。
どうしても電子データで欲しい場合、
「弁護士か事務員が検察庁に出かけていって、書類をファイルに綴じたまま1ページずつデジカメで撮影する」
ことを要求されます。
いまどんな問題があるのですか?
弁護士が裁判できちんと仕事をするには、
証拠を全部手元に置いておくことがもちろん必要です。
私選弁護の事件の場合、証拠のコピー費用(=入手費用)が自己負担になります。
業者にコピーを依頼するときは、業者の決めた代金を払う必要があります。
600万円以上を被告人個人が支払った事例もあります。
この事例のコピー代金は、モノクロ1枚40円、カラー1枚80円(税込)でした。
証拠が1000枚、1万枚、10万枚といった枚数になることもありますので、大変な負担です。
国選弁護事件でも、弁護士がコピー代を1万円近く自己負担したり、高額のコピー代を数ヶ月立て替えたりします。
国選弁護事件の場合には、コピー代のかなりの部分を国が補填します。
最大でモノクロ1枚40円、カラー1枚100円が税金から支払われます。
年間で1億円以上の税金が使われます。
しかも本来不要な紙コピーです。単価も妥当でしょうか。
税金の無駄遣いと言われても仕方がありません。
森林資源も浪費されます。
裁判を受けるためには、証拠を全部手元に置いておくことが必要です。
しかし、それに100万円の自己負担が必要だとしたらどうでしょう。
証拠の入手をあきらめる人が、もちろん出てきます。
業者がいない地域では、弁護士や事務員が、検察庁に出かけて行って、自分で証拠のコピーを作らなければなりません。
業者にお金を払わないとは言っても、
1万枚のコピーを、弁護士や事務員が、よそのオフィスに出かけて行って作れるでしょうか?
今の仕組みでは、弁護士や被告人が、証拠を持たずに裁判を受けるケースが出てしまいます。
紙でコピーを作ると、作業量が多くなります。
業者に証拠のコピーを依頼してから、手元に届くまでに1ヶ月以上かかる
といった事例もあります。
ファイルで10冊、50冊、100冊の資料を、
紙のままで検討する作業はとても非効率的で、
準備に時間がかかります。
裁判の準備手続(公判前整理手続)だけで、2年以上がかかった例もあります。
弁護側が紙の資料を十分に検討しきれないまま、見切り発車で裁判が進んでしまうことも珍しくありません。
この問題の解決は本当は簡単なはずです。
電子データを使って証拠開示をすればよいだけです。
アメリカ、イギリス、ドイツ、中国、台湾などの全部又は一部で、
既に証拠開示は電子化されています。
日本でできない理由はありません。
NEWS
2020.12.21
ー 署名期間延長のお知らせ:要望書の提出直前まで署名の募集を継続します。
2020.12.15
ー アメリカの連邦事件における証拠開示につき、笹倉香奈先生(甲南大学)よりご寄稿いただきました。
2020.12.2
ー ニューヨーク市の証拠開示につき、杉山日那子先生(弁護士)よりご寄稿いただきました。
2020.11.28
ー 韓国の証拠開示のデジタル化につき、安部祥太先生(青山学院大学)よりご寄稿いただきました。
2020.11.25
ー ドイツの証拠開示のデジタル化につき、斎藤司先生(龍谷大学)よりご寄稿いただきました。
2020.11.18
ー「証拠開示のデジタル化を実現する会」のサイトをオープンしました。
ー『証拠開示のデジタル化を求める要望書』について、一般の方の賛同署名の募集を開始しました。
2020.11.11
ー『証拠開示のデジタル化を求める要望書』について、弁護士・研究者の賛同署名の募集を開始しました。